2012年4月30日月曜日

スーパーのカゴに偶然入り込んだ何か(MUSE)



SOFAにしても、チェアにしても、空間にしても、

デザインをする時に共通していつも思い出すことがあります。

小沢健二のファーストアルバムの解説文なんですけど、

「スーパーのカゴに偶然入り込んだ何か」という話です。

つまり(相当昔のことで、ディテールは忘れましたが)、


『誰かが何かの料理をしようと食材を買っている。

決められたレシピに従っていろいろ買いそろえる。

家で料理して食べる。美味しくできた。満足。

でも、違う日に同じ料理を同じレシピ通りに作っても、

前回の味と違う。今日はあんまり美味しくない。

どうして?

・・・・・なぜなら、その日のスーパーのカゴには、

目に見えない何かが、ふと、偶然入り込んだからだ』


というものです。

素材や作りの知識、工業機械の知識、

職人の腕前の事前確認、デザインの歴史や系譜、

マーケットの動向、自己思想、販売員のレベル、

資本の投資と回収の相関係数・・・。

数え上げたらきりがないくらい、

(例えば椅子一脚作るのに) 沢山のレシピが必要です。

でも、そのカゴの中に(ごく稀に・・ですけど)、

「神様の一吹き」が入って、名作が生まれる時が、

確かにあるんです。

もっとも科学で突き詰めればその不思議は、

きっと解明出来るんでしょう。

僕は、経営者兼デザイナーです。

決して芸術家ではありません。

だから、本当は、

すべて理詰めで商品をデザインすべきなのでしょうが、

最後の「何か」を解明してしまおうとは、

やっぱり、思いません・・・というか、思えません。



だから、僕は今日も、

要素でパンパンになったスーパーのカゴを持って、

その何か(MUSE)を待っています。













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