AREA[エリア]POLIS[ポリス]SOFAS[ソファーズ]roche bobois[ロッシュボボア]などのインテリアブランドを展開するCROWN Co.の代表(野田豪)が日々考えるインテリア業界のあれこれや私小説をお届けします。
2015年3月30日月曜日
春の日のポルシェ
リアルでもネットでもお店と名のつく所が一番苦労するのが集客です。良い商品を置いても誰も来ないのでは商売になりません・・。だから今日も僕らは集客に一生懸命。今回ご紹介するのは僕らがかつて行ってきた千を越える集客施策、その中でもあれは奇策だったなぁと思う一つです。
************************************
とある月曜日
僕「次のチラシどうする?」
2005年。
念願の東京・青山進出を果たした僕ら。ここ青山で、AREA Tokyoは破竹の勢いで大成長をしていた。
生田「最近マンネリ気味ですね」
僕「ちらしの内容はマンネリ安定でいいと思うな。まだブランドイメージ安定してないから。ホームページの方でいろいろ試しているし」
生田「じゃあギミックですかね」
僕「ギミックだなぁ」
広告は大筋の内容もさることながら、詳細部分のギミックの出来が集客量を決める。例えばソファフェアを行うとして、ご購入いただいたら何かプレゼントするとか・・そういうやつだ。
生田「とは言え、ウチはよそと比べてあんまり粗利をとってないから、広告経費はかけられませんが」
僕「プレゼントやSALE以外のギミックか」
生田「ですね」
僕「うーん」
生田「整理しましょう。まず内容はいつも通り。ギミックで集客量を増やす。かと言って、ウチの顧客層をピンポイントで狙いたい」
生田はいつも冷静だ。
僕「ウチの顧客層・・今後狙って行きたいのは」
生田「芸能人とか?」
芸能人でなくとも社会に対して影響力のある人。その顧客層はブランドを作る上で欠かせない存在だ。ご購入頂いた上に、強力な口コミの期待ができる。
僕「芸能人割引とかかな」
生田「・・・・・」
僕「・・・・・あれ?ダメ?」
生田「芸能人はフェラーリに乗っています。そして毎日忙しい」
僕「えー?そこ?」
生田「わかった」
僕「え?なになに?」
生田「24時間営業にしましょう。なーんて」
僕「・・・・」
生田「?」
僕「それだ・・」
深夜対応。聞いたことがある。ヴィトンだったかな。深夜にある女優がマネージャーにお店を開けさせたって話。そうだよ営業時間を伸ばせばいいんだ。人件費との費用対効果の問題をクリアするなら、予約制にすればいい。そして、住んでいる所がお店に近い人が対応する。
僕「お店に一番近いのはだれだ?」
生田「あきらかに社長ですね」
僕「ん?・・そ、そうか」
そんな勢いのまま僕らはチラシ作りに突入した。
僕「でな、さっきの話なんだけど」
生田「はい?」
僕「フェラーリ」
生田「ああ」
僕「駐車場あります の横にイラストでアイコンを入れよう」
生田「了解」
出来上がったラフ。(添付写真)
open everyday
ordinary 11:00~20:00(通常営業時間)
reservation20:00~24:00(完全予約制)
(イラスト) 駐車場3台有り
僕「(イラスト)これ何?」
生田「フェラーリです」
僕「なんか・・俺には平べったい染みにしか見えないのだが?」
生田「フェラーリですって」
僕「そ、そうだけどフォルムが分かりにくいというかだな・・」
生田「・・・・赤くしますか?」
僕「赤い染みになるんじゃないかな」
生田「車変えましょう」
結局、ポルシェにしてチラシが出来上がった。
******************************************
さて結果はどうだったか。
まず深夜予約制は時々効果があった。中でも金融界のNさんと医療系ファンドの大物Sさんは今でもお付き合いがある。
Nさん「いや、当時あのチラシをみた時、気合いの入り方がすごいなと思いましたよ。なんだこの家具屋、なにかがあるぞって」(最近の談)
また、ある若手女優さんが利用してくれて、その口ききにより、その後AREA Tokyoを使った「TVロケ撮影」という一つのビジネスポケットを作るに至った。
僕らはいつも一生懸命だった。不格好って笑われてもいいから、一生懸命やろう。エネルギーはもったいぶらずに全部出そうっていつも仕事をしていた。だから奇策も出るよ。でも時が経つと、こういう話がすごく愛おしくなるな。いや、懐かしがってる場合じゃないんだ。なぜなら僕らは今日も一生懸命奇策を出し続けているのだから。
*******************************************
そうそう、ポルシェの話。
*******************************************
桜舞うおだやかな春の日曜日。
キュキュッ。
一台の車が店前に停まった。
何気なく外を見た僕と生田が戦慄した。
生田「ポ、ポルシェが」
僕「本当に来た」
続いて2台目。
僕、生田「・・・2台来た」
お店に横付けされた2台のポルシェ。
僕は今でもその光景を覚えている。
生まれて初めて背中がぞわっとした感覚とともに。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿