2015年4月5日日曜日

接客の授業をちょっとだけ


最近の僕の仕事は新人教育です。
今日もこんな感じでがんばりましたよ。


僕「木の素材は覚えてきましたか?」
新入社員「はい」
僕「ブラックウォールナットは何目、何科、何属」
新入社員「・・・クルミ科」
僕「ホント?あってる?」
新入社員「は、はい・・(自信なさげ)」

あってますね。クルミ目、クルミ科、クルミ属。

僕「日本の主だったクルミ材の名称は?」
新入社員「鬼胡桃、沢胡桃、野胡桃」

僕「はい。3日後に筆記テストしますので復習しておいてください。2時間目は接客レッスンその2を始めます。テーマは[知識の最適化]です。」

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僕ら販売店は毎日接客をします。

僕は自社でもコンサル先でも、いろんな販売員を見てきましたが、本当に販売の上手な人はほんの一握り。

先天的に売れる人。
それは生まれつきのものだろう。

でも、それで片付けてしまったら
一握り以外の人がかわいそうだ。
販売店の仕事は販売だけではない。
でも販売店だからなあ。
できればみんなに販売のスペシャリストになって欲しい。

いつからかそう思うようになった。
だからいろんな人の販売を観察した。
そして、売れない人に4つの共通点を見つけた。

その内の1つが知識の最適化だ。

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例えばお客様に「このイスは何の木ですか?」と聞かれたとします。「ブラックウォールナットです」と答えますね。これが会話でいうところの単語です。走るという動詞は英語でいうと?」「Runです」と感じは同じ。知識は暗記すれば誰でも習得できます。

例えばお客様に「このイスは何の木ですか?」と同じことを聞かれて、「ブラックゥオールナットです。北米のアパラチア山脈特に五大湖周辺に分布しています。世界三大銘木に数えられていて、色合い、木裡の美しさはもちろん、素材としての安定性、つまり割れや反りにもなかなかに優秀な木です・・云々」これは会話でいうところの文法に近いものです。有効な配置に関して一定のルールがあるものの、覚えて慣れてくると、これも誰でもマスターできます。

さあ次が問題です。

覚えた単語(知識)と文法(プロット)をしっかり話しても
実は売れない人と売れる人が分かれます。

なぜでしょう?

答え。
売れる人は、お客様が真に必要としている単語と文法を取捨選択していて、売れない人はお客様を見ていないか、それらの取捨選択を間違っているのです。

お客様が欲しがっている情報というのは(多少の傾向はあるでしょうが)お客様の数だけ違います。しかも、やっかいなことに、その真に必要としている情報を、当のお客様すら気づいていないこともあるのですね。

以下は接客シュミレーションの授業で実際に会った話。

お客様「キッチンのカウンターが白木なの。大工さんが秘蔵の材料を使ってくれて、ヒッコリーって言ってたかな。だからテーブルも白木にしようと思っていて」


「そうですね。白木ならオークでしょう。白木の女王と呼ばれているアッシュ(タモ)もいいですね。すうっと通った木目が云々・・」


「そうですね。しかしちょっと待って下さい。ヒッコリーはクルミ科ですね。木目の表情はウォールナットと似ています。色で揃えるのも大事ですが、部屋のコーディネートを考えたら木目の統一も結構大事ですよ」

当時の新人2人は同じ知識を持っていました。しかしここでは大きな違いが出てしまっています。一人はオーク、アッシュの知識の引き出しを開け、一人は木目の統一の引き出しを開けたわけです。もっと会話を掘り下げないとどっちのスタッフから購入するか分かりませんが、白木の統一と木目の統一2つの選択肢を与えた後者のスタッフの方がちょっと分がありそうです。

もっとたくさん例を出せば分かり易いんでしょうけど、長くなるので、ここでは割愛します。これについての僕のイメージを一応補足しておきます。

ちょっと記憶が拙いですが、「千と千尋の神隠し」の中で蜘蛛みたいなおじいさんが大きな薬棚からモノを取って千に手渡します。この大きい薬棚の沢山の引き出しの量を知識の量だとします。蜘蛛ジイ(名前忘れました)はそこから千に最適な薬(?)を取り出して渡します。

この行為が知識の最適化ですね。

あったりまえのことをながーくズラズラ書いちゃってーー。って思う人はきっと売れる人なのでしょう。しかしなかなかどうして、これを教えた途端に売れるようになる人は多いんですよ。なるほどーって思った人は明日の接客でぜひお試しあれ。

あ。これを読んでいる人は家具を探している人も多いんだった。

お客様のあなたは・・そうだな。

知識の最適化ができない人から高価な家具を買っちゃだめです。スタッフは選びましょうね。

というわけで、今回は日々接客にいそしんでいる同業のお仲間のみなさん宛に書いてみました。

お粗末様でした。

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